まず、最初にペイシェントジャーニー(Patient Journey)ってご存じでしょうか?説明するとこういう概念になります。

●患者が医療サービスを受ける過程を詳細に理解できるように、そして、改善も含めた医療行為の総合的理解を深めるために作成、使用されます。ペイシェントジャーニーの主なプロセスは以下の通りになります。

1、診断と啓発
患者が健康問題に気付き、医療サービスを受ける必要性を認識します。この段階では情報収集や医療提供者からのアドバイスが含まれます。

2、医療プロバイダーの選択
患者は適切な医療プロバイダー(病院、クリニック、医師など)を選び、予約を行います。

3、診療
患者が医療提供者と面会し、診察や治療を受けます。これには検査、処方箋の発行、手術などが含まれます。

4、治療とフォローアップ
治療や手術の後、患者は指示に従い、薬物の服用、物理療法、定期的なフォローアップなどを行います。

5、患者エンゲージメント
患者は療養期間中に情報を収集し、症状の変化や健康状態を認識します。また、必要に応じて医療プロバイダーとコミュニケーションを取ります。

6、退院とアフターケア
治療が終了した場合、患者は退院し、必要なアフターケアやリハビリテーションを受けるか、生活に戻ります。

7、結果と評価
ペイシェントジャーニーの最終段階では、治療の結果や療養期間を評価し、将来の健康のための行動を検討します。

以上がプロセスになります。ペイシェントジャーニーの理解と改善は、患者モチベーションの向上、健康に努めるマインドの最適化に役立つのと同時に、情報共有によって医療提供者、患者、および医療機関の相互関係がスムーズになり、より良い医療サービスが期待できる方向に向かうと思います。

1~7、この一連の過程を患者さんのペイシェントジャーニーと考える訳です。そして、その概念を患者さんごとに『見える化』します。その中には各々の人生の出来事も入れる事が可能です。『ペイシェントジャーニー見える化』が出来たとしましょう、これを『ペイシェントジャーニー・マップ』と呼びます。そのマップの中の患者さんにとっての『節目』、すなわち、その人にとっての重要なポイント(時期)があると思いますが、、例えば、薬が変わった、手術をした、主治医が転院した、また、体の痛みがひどい、痺れが違う部位にも起きた、さらには、転職した、学校に入学した、結婚した、などなど、その様なポイント時のメンタルの動きを、マップに連動させて『全て見える化』するのです。それを『ライフ・トレーシング・マップ』 とネーミングしました。下図になります。

それって どんなメリットがあるの?になりますが、以下 まとめてみました。

●メンタル側面の理解
ペイシェントジャーニーマップとメンタルの起伏を組み合わせることで、患者の感情やメンタルヘルスの変動を追跡し、特定のステップや出来事にどのように影響を与えるかを理解できます。

●個別化と人間性
グラフ化により、患者の個別のニーズや感情に対処することができます。これは、行われるべき患者中心のケアにおいて非常に重要です。

●改善の特定
患者のメンタル側面を考慮に入れることで、特定の段階やプロセスが患者にどのような影響を与えているかを把握し、改善の機会を特定しやすくなります。

●サポートの最適化
メンタル側面を含めたペイシェントジャーニーマップは、医療提供者やカウンセラーが患者に適切なサポートを提供するための情報源となります。

●患者教育
患者が自身のメンタルヘルスに関する自覚を高め、適切なサポートを求める手助けとして利用できます。

以上は患者さんのフォロー側(介護者・医療関係者等)のメリットですが、本人が得られるメリットとしては・・・

■自己効力感の向上
アプリを使って自身のマップを作成し、健康に関する情報をご自身で確認できることで、患者は自己効力感を高めることができます。自分のケアに対する責任感と自信が増し、積極的なご自身への啓発効果に結び付きます。

■主体的なケア
アプリを使用することで、患者は治療や健康管理への積極性が増します。自身の状態を管理し、治療計画に参加する事がより容易になります。

■情報へのアクセス
今後のバージョンアップにより、患者はアプリを通じて健康に関する情報にアクセスし、疾患や治療法についての理解を向上させることができます。これにより、治療に対するより良い判断が可能となります。

■データの可視化
マップは患者にとって、自身の健康データを視覚的に理解しやすくします。これにより、患者は進捗を追跡し、改善点を特定するのに役立ちます。

■カスタマイズされた治療計画
患者がアプリを通じて収集したデータを主治医、病院側と共有することで、よりカスタマイズされた治療計画を受ける可能性が高まります。治療が患者の個別のニーズに合わせて協議されることに結び付きます。

■メンタルヘルスの管理
アプリは患者やドクターが本人のメンタルヘルスをトラッキング(追跡・分析)し、感情やストレスに対処する手助けとなります。メンタルヘルスの変動を把握し、問題を早期に発見できます。(ウェルビーイング確保)

■コミュニケーションの向上
患者はアプリで作成したマップを介して、病院やクリニックそして医師等とのコミュニケーションを強化し、病状や症状に関する情報を迅速に共有できます。

これらのメリットにより、患者本人は自己管理、主体的なケア、情報へのアクセス、治療計画の最適化、メンタルヘルスの管理、および医療プロバイダーとの協力を強化することができます。アプリは患者の健康と生活の質を向上させ、治療成果を改善するのに貢献できると思います。

このアプリは他にも様々な利用方法があります。例えば、『子育て日記』『母の介護記録』『学業日記』、短期間に設定し『自分の出来事歴』『家族の出来事』、さらには『家計出費歴』等々、汎用性に富んでいると思います。今後のバージョンアップでさらに幅が拡がるかと思っております。