歯医者さんのイメージが、この2~30年で「虫歯になったら、痛くなったら、行くところ」から「虫歯にならない為に行くところ」という新しい価値がプラスされたものになっています。ストレートに書きますと、「虫歯を減らすと収益が上がる」という、、事なんですね。この事は(株)インテグレートのCEO、藤田康人氏もご自身の著書で書かれていますが、1997年当時の歯医者さんの数は何と!約6万件もあったそうです。この頃には既に少子化であることも周知されており、飽和状態の中で生き残りの方策を模索していた時代であったと思います。当時は前述しましたように「痛いから行って治療をしてもらう」時代であり、私も我慢できなくなったら行くという認識でした。皆さんもそうだったと思います。しかし、同時期、既にフィンランドや米国では歯医者は「虫歯にならない為に行くところ」というイメージができていたという事です。

日本の虫歯の保有率は、常に人口の約10%と言われておりまして、治療に訪れる患者さんの頻度はせいぜい3~5年に一回でしたが、「虫歯にならない為の通院」になると頻度は増えます。しかし、そこには予防型と保険診療という壁があったようで、キシリトールガムの効果(虫歯を減らすことが可能であること)を利用し、予防診療の重要性を広めたという企業戦略を経て(産業のリデザイン化)、現在の形が普通になってきました。

予防診療で通院する頻度が増えた患者さんへの対応は、メイン対応が『歯科衛生士』になることも、劇的な変化であったと私は思います。定期的口腔メンテナンスに患者が気持ちよく行ける環境を整えながら、受診数を増やす、、そうする事により、自然な形での口コミ効果もあったと思います。

私は「これからの時代は、一人ひとりのウェルビーイングの実現の為に関係性のリデザイン化が求められている」と思っております。この歯医者さんのリデザイン化は、必要に迫られて(クリニック数の飽和状態)の発想かとは思いますが、結果的には患者のウェルビーイングに貢献した形になっていますよね。今後は、地位財から非地位財重視へのシフトが行われている中で、様々な産業においてもこの様なリデザイン化が進むと思っておりまして、社会貢献活動においてもそれが反映可能と思いますので、その方針で前に進めたいと思っております。