― 社会貢献活動に必要なもう一つの視点 ―

私たちのような患者団体や社会貢献団体にとって、原資の問題は常に最重要課題です。活動が経済活動そのものではない以上、収益構造は自然には生まれません。多くの団体が、活動を継続するために日々さまざまな工夫を重ねています。製薬会社の助成金に応募したり、寄付をお願いしたり、会費を募ったり、あるいは代表者が私財を投じたりと、その努力は決して小さなものではありません。

そこには「社会に貢献したい」という真摯な想いがあります。だからこそ、多くの団体が手弁当で動き続けているのだと思います。しかし同時に、私たちは一つの現実にも直面します。それは、「善意だけでは継続できない」という事実です。

活動が止まってしまえば、支援を必要としている人とのつながりも止まってしまいます。どれほど理念が尊くても、継続できなければ社会的な意味は限定的になってしまいます。だからこそ、私たちは発足当初から「継続できる団体活動」を一つのテーマとして掲げてきました。継続は信頼を生み、信頼は社会的な影響力へとつながると考えてきたからです。

その中で私たちが大切にしてきたのが、「WINWIN」の精神です。これは単なるスローガンではありません。企業様や団体様と連携する際にも、どちらか一方が犠牲になる形ではなく、双方にとって意味のある関係性を築くことを前提としてきました。目的は異なっていても、お互いに価値が生まれるのであれば、その接点を探し、具体的な形にしていく。もちろん、私たちのメインテーマである社会貢献活動の軸を守ることは大前提です。その路線が揺らぐことはあってはなりません。

ここで大切になるのが、「互恵的利他」という考え方です。一般的に「ギブアンドテイク」という言葉が使われますが、それはどちらかといえば等価交換のニュアンスが強いものです。一方で、互恵的利他とは、まず相手に価値を差し出しながらも、長期的な関係性の中で双方が支え合う構造を築いていく姿勢だと理解しています。

人間社会は、もともと互恵性の上に成り立っています。社会心理学の研究でも、人は何かを受け取れば返したくなるという傾向があるとされています。たとえば、参考文献である『影響力の武器』(後日、要点を説明予定)の中でも、互恵性の原理が人間行動の基本として紹介されています。これは決して操作的な話ではなく、人間の自然な心理構造を示したものです。

社会貢献の分野においては、「無償であること」が尊ばれる傾向があります。それ自体は尊い価値観です。しかし、無償であることと、持続可能であることは必ずしも同義ではありません。無理を重ねた結果、代表者が疲弊し、活動が止まってしまうとすれば、それは誰のためにもなりません。

私たちはこれまでの経験から、互恵性を意識した関係づくりが、結果的に活動の安定につながることを学んできました。企業様にとっても意義があり、私たちにとっても社会的使命を前に進める力になる。そのような接点を見出すことは、決して理念の後退ではなく、むしろ理念を現実化するための工夫だと感じています。

もちろん、注意すべき点もあります。それは「依存」に陥らないことです。特定の資金源に過度に依存すれば、自由な発言や活動の方向性が制約される可能性があります。だからこそ、私たちはあくまで対等な関係を前提とし、透明性を確保しながら連携を進める必要があります。互恵であっても、従属であってはならないのです。

社会貢献活動は、理想だけでは成り立ちません。しかし、現実だけでも続きません。理想と現実の間に橋を架ける役割を果たすのが、互恵的な発想ではないでしょうか。双方に価値がある関係性を丁寧に築くことは、人間関係の基本でもあります。それは企業との連携に限らず、個人とのつながり、地域との協働においても同じです。

私たちはこれからも、社会に対して開かれた団体でありたいと考えています。そして、支えてくださる方々とともに、持続可能な形で社会貢献を続けていきたいと思っています。そのためには、「善意」だけでなく、「構造」も必要です。継続できる仕組みをつくること自体が、社会に対する責任であると感じています。

社会貢献を志す多くの団体が、原資の問題に悩みながらも懸命に活動を続けています。その中で、「互恵」という視点をあらためて共有することは、決して商業主義への転換ではありません。むしろ、社会に対して誠実であり続けるための一つの選択肢ではないでしょうか。

続く活動こそが、社会にとっての希望になります。私たちはこれからも、理念を守りながら、互いに支え合う関係を広げていきたいと考えています。その積み重ねが、結果としてより大きな社会的価値を生み出すと信じているからです。