2024年5月21日、WHOが発表した2024年版の世界保健統計によると、平均寿命が最も長い国は日本で84.5歳だった。2位はシンガポールで83.9歳、3位は韓国で83.8歳と、アジアの国が並ぶ。平均寿命が80歳を超えている国の数は27カ国となっている。男女別では、男性はイスラエルが82.4歳、女性は日本が87.2歳でそれぞれ1位となっている。 日本の男性は81.7歳で2位。平均寿命が最も短い国はアフリカ南部に位置するレソトで51.5歳。 ただし、統計データがない国を除く。世界全体の平均寿命は71.4歳。 男女別では、男性が68.9歳、女性が74.0歳となっており、女性の方が約5歳寿命が長いです。
日本は世界一の長寿国です。ご存知かと思いますが、今、注目されているのが『健康寿命』です。少し説明いたします。
健康寿命(けんこうじゅみょう)とは、単に生きている年数だけでなく、健康で自立した生活を送れる期間を指します。これは、全体の寿命から病気や障害によって健康を損なっている期間を差し引いたものです。健康寿命の延伸は、個人の生活の質を高めるだけでなく、医療費や介護費の抑制にもつながるため、個人・社会の両面で重要視されています。ちなみに、2024年4月現在の日本人の健康寿命は、全国平均で74.11歳(男性:72.64歳、女性:75.58歳)。全国平均でくらべます平均寿命が84.5歳、健康寿命が74.1歳となっています。つまり、約10年間は何らかの理由により、健康な生活がおくれていない事になります。
健康寿命の重要性
生活の質(QOL)の向上:
健康寿命が延びることで、個人は自立して生活できる期間が長くなり、日常生活の質が向上します。これは、身体的・精神的な健康が保たれ、社会活動や趣味を楽しむことができる期間が長くなることを意味します。
医療費の抑制:
健康でいる期間が長いほど、病気や障害にかかる可能性が減り、それに伴う医療費や介護費が抑制されます。特に高齢化が進む社会において、医療や介護にかかるコストは大きな課題であり、健康寿命の延伸はこの課題解決の一助となります。
介護負担の軽減:
健康寿命が延びることで、介護を必要とする期間が短縮されるため、家族や社会にかかる介護負担が軽減されます。これにより、介護を担う人々の心身の負担が減少し、彼ら自身の健康維持にもつながります。
社会参加の促進:
健康寿命が延びることで、高齢者がより長く社会に参加し続けることが可能になります。これにより、地域社会や職場での貢献が期待され、社会全体の活力が高まります。
健康寿命が注目されている理由
高齢化社会の進展:
述べましたが、日本をはじめとする多くの先進国では、少子高齢化が進行しています。長寿命化は歓迎されるべきことですが、単に寿命が延びるだけでは、長い期間にわたる医療や介護が必要になる可能性が高くなります。このため、健康寿命を延ばし、質の高い人生を送ることが重要視されるようになっています。
医療技術の進歩:
医療技術の進歩により、多くの病気や障害が治療可能になりましたが、それと同時に長期にわたる慢性疾患の管理が求められるようになっています。このような背景から、病気にならない、あるいは病気にかかっても健康を維持する期間を延ばすことが、個人と社会の両方にとって重要な課題となっています。
予防医療への関心:
健康寿命を延ばすためには、病気になる前の段階での予防が重要です。予防医療や健康づくりへの関心が高まり、生活習慣の改善や定期的な健康診断の受診が推奨されています。
国や自治体の政策:
健康寿命の延伸は、国や自治体が掲げる重要な政策目標の一つです。例えば、日本では「健康日本21」などの国策により、生活習慣病の予防や健康増進活動が推進されています。また、地方自治体も独自の健康増進プログラムを展開し、住民の健康寿命を延ばすための取り組みを強化しています。
まとめ
健康寿命は、ただ長生きすることではなく、健康で自立した生活を送ることができる期間を指し、個人の生活の質や社会全体の負担軽減において極めて重要です。高齢化社会の進展や医療技術の進歩、予防医療への関心の高まりにより、健康寿命の延伸がますます注目されています。健康寿命を意識した生活習慣の見直しや、政策の活用を通じて、誰もが健やかで充実した人生を送ることが目指されています。特に、生命科学の分野においても、最先端の研究からその分野への応用が期待されています。
また、健康寿命は『個人の尊厳』と密接に結びついています。では、どのように相互関与しているのでしょうか?
健康寿命と個人の尊厳
自立と自主性の維持:
健康寿命が長いということは、自立して生活できる期間が長いことを意味します。自分の生活を自分で管理し、他人の助けを必要とせずに暮らせることは、個人の尊厳を守る上で非常に重要です。自立していることで、自分の意思に基づいた決定を行うことができ、人生における選択の自由を享受することができます。
社会的役割の維持:
健康寿命が長ければ、社会的に活躍できる期間が延びます。社会の中で役割を果たし続けることができることは、自尊心を高め、他者からの尊敬を得る要因となります。自分が社会に貢献していると感じることは、個人の尊厳を支える重要な要素です。
自己決定権の尊重:
健康であることは、自分の生活や医療に関する決定を自分で行う能力を維持することにつながります。自己決定権を尊重され、自らの意思に基づいて治療やケアを選択できることは、個人の尊厳を守るために不可欠です。健康寿命が長いことにより、この自己決定権が長期間にわたって維持されます。
生活の質(QOL)の向上:
健康寿命が長ければ、身体的・精神的に充実した生活を送りやすくなります。生活の質を高く保つことは、個人の尊厳を維持するための重要な要素です。痛みや苦しみを伴わない生活、豊かな人間関係を維持できる生活は、尊厳ある人生の基盤となります。
終末期における尊厳の確保:
健康寿命の延伸は、終末期における尊厳の確保にも寄与します。健康寿命が長いことで、最後まで尊厳ある状態で過ごすことができる可能性が高まります。自分の最期をどのように迎えるかを考える余裕があり、尊厳死やホスピスケアなど、本人の意向に沿った選択ができることは、個人の尊厳にとって非常に大切です。
まとめ
健康寿命は、単に病気の有無や身体的な健康だけでなく、個人が自らの尊厳を保ちながら生きていくための重要な指標です。自立した生活、自己決定権の尊重、社会的役割の維持といった要素が、個人の尊厳と深く関わっており、健康寿命の延伸がこれらの要素を支えることになります。尊厳を持って生きるためには、健康であることが不可欠であり、そのための取り組みが重要視されるべきです。