大阪大学大学院 生命機能研究科教授 吉森 保氏の著書『LIFE SCIENCE』の中で相関と因果についての記述があります。
「相関というのは、目に見える関係で、科学の観察記録でもあります。たとえば、暗い部屋に入ってスイッチを押したら電気がつくのは相関関係。この情報だけだとスイッチを押すことで電気がついたとは言えない。つまり、「相関関係とは原因と結果ではないかもしれない。」という関係。」「因果関係とは確実な原因と結果の関係」「相関関係には因果関係が含まれている事はあるが、相関=因果ではない。しかし、人は相関関係を因果関係と思い込みがち。

相関関係とは原因と結果ではないかもしれない。」この部分を説明しますと、暗い部屋に入ってスイッチを入れたら、そのスイッチは玄関灯のスイッチで、部屋の電球は切れかかっていて、部屋に入った時は暗くて、スイッチを入れた時にたまたま点灯しただけかもしれない。もしかすると、電灯は隣の部屋のスイッチに繋がっていて、押した瞬間に隣のスイッチを誰かが押したかもしれない。じつはこれは、壁をはがして、電灯とスイッチがつながっている事を確認でもしない限り、スイッチを押したから電灯がついたと言えない。・・・・そのような内容なのです。

因果関係を示すには、観察だけではなく実験や検証が必要になってくる事も多くなります。(ここまでが引用)

確かに社会は相関関係=因果関係と思いこむケースがありますよね。具体的に例をあげてみます。

アイスクリームの売り上げと水難事故の発生率
夏場にアイスクリームの売り上げが増加する一方で、水難事故の発生率も上昇する傾向があります。しかし、これは単なる相関関係であり、アイスクリームの売り上げが増えたからといって、直接的に水難事故が増えるわけではありません。実際には、暑い季節になると人々が水辺で遊び、同時にアイスクリームを求める傾向があるため、両者の増加は単なる偶然の一致です。
火災と消防関連産業の売上
火災の発生と消防関連産業の売上の間には正の相関関係があるかもしれません。しかし、これは因果関係ではありません。火災が増えたからといって、消防関連産業の売上が増えるわけではありません。実際には、人々が火の用心に気を付けるようになったり、建物の安全対策が進んだりすると、火災の発生率が減少し、それに伴って消防売上も減少する可能性があります。
傘の売り上げと雨の発生
傘の売り上げと雨の発生との間には正の相関がありますが、これは因果関係ではありません。雨が降ったからといって、それが傘の売り上げを引き起こすわけではありません。実際には、雨の予報や天候の変化に応じて傘を買う人々が増えるため、両者の増加は相関に過ぎません。


これらの例からわかるように、相関関係があるからといって必ずしも因果関係があるわけではありません。因果関係を確認するためには、追加の情報や実験が必要です。
この事を意識するという事が『科学の目』を持つという事に繋がると思いますし、所謂、『エセ科学』にも気が付くと思います。商品販売などにおいても比較対象も無い商品データーを誇らしげにアピールし、販売に結び付けるなどは、まさしくそれになると思います。『科学の目』を少しづつ持っていけば、日常生活においても気が付く事が多くなるかと、、、思います。常に「んn?あれっ?」と疑ってみるという事も必要ですね。