そもそも、幸せは誰にでも手に入るものであり、特定の誰かだけが得られるものは幸せとは言えません。幸せは、他者と分かち合うことで初めて深まります。一人で手に入れる喜びももちろんありますが、その喜びが他者の心を温めたり、誰かのためになったとき、それは「個人の幸せ」から「共通の幸せ」へと形を変えるのです。そうすることで、幸せはさらに豊かに、持続可能なものになります。
また、幸せは「結果」ではなく「プロセス」でもあります。特定の条件やゴールが達成されたから得られるものではなく、日々の中にある小さな優しさや感謝、つながりの中に宿るものです。幸せは誰かから奪われるものではなく、誰かに与えたとき、逆に自分にも帰ってくるという不思議な循環があります。
だからこそ、誰かを幸せにしたいと願うこと、そしてそのために行動すること自体が、すでに自分を幸せにしているのだと思います。幸せとは、他者と共にある喜びであり、それが世界の中で一番美しいものではないでしょうか。その様に思います。
根本的な部分にかえりますが、現在の生活が困窮している、家族内でトラブルを抱えている、他人との関係がうまくいっていない、等、何かしらの問題を抱えて悩んでいる人がその様な想いになれるのでしょうか?違う例で申せば、生活に追われている人が他人の為にボランテイァ活動が出来るのでしょうか?心に余裕のない人が、その様な発想になれるのでしょうか?そのような状況の方に対して、このような想いをどのように伝え、そして共感を得るかを考えるとき、私達はどうすればいいのでしょうか?幸せの「循環」や「共有」という概念は、心に余裕があるときは響きやすいですが、生活に追われたり、問題を抱えているときには、響きにくいことがあります。それが現実の厳しさでもあります。
少し具合的に書いてみます。
1. まずは現実的な支援を提供する
心の余裕が生まれるには、まず最低限の安心感が必要です。生活の困難や借金などの問題を抱えている方には、具体的なサポートやリソースを提供することが第一歩です。
- 生活相談や福祉支援の情報を提供する
- 小さな成功体験を得られる手助けをする
- 孤立を防ぐためのコミュニティづくりを促す
物理的、心理的な土台が整うことで、心が他者に目を向ける余裕が生まれます。
2. 幸せの「小さな始まり」を伝える
幸せを「大きな理想」ではなく、「小さな気づき」や「ささやかな行動」に落とし込んで話すことが重要です。たとえば、以下のように伝えることが考えられます。
- 「誰かを助けるのは大きなことじゃなくていいんです。挨拶をすることも、小さな幸せの種になります。」
- 「自分が苦しいときこそ、誰かの笑顔を見て気持ちが和らぐ瞬間がありますよね。その感覚が、実は幸せの始まりです。」
3. 自己効力感を高める機会を提供する
「自分は誰かの役に立てる」と実感できる場を提供することが効果的です。たとえば・・
- 小さなボランティア活動の機会(近隣の清掃、声を掛け合うだけの活動など)
- 自分の得意なことや経験が活かせる場の紹介
- 成功体験や感謝を感じられる場作り
これにより、自分の存在意義や能力に気づき、そこから他者への関心が自然に芽生えることがあります。
4. 共感を軸に対話を深める
生活に追われている人に理論や理念を伝えるよりも、まず共感を示すことが重要です。
- 「生活が大変なときに、幸せを考える余裕なんてないのが普通ですよね。」
- 「それでも、たとえばこんなことがあったときに少し嬉しい気持ちになったこと、ありませんでしたか?」
相手の現状に寄り添いながら、心に小さな窓を開けるような対話が鍵になります。
5. 幸せを遠い理想ではなく身近な行動に
「幸せにしたいと願うこと」という表現を、もっと身近なアクションに言い換えると、受け入れやすくなることがあります。
- 「あなたの笑顔が、周りの人に元気を与えることがありますよね。」
- 「自分の経験を誰かと共有することで、少し楽になったことはありませんか?」
こうした身近な視点から入ることで、幸せの循環を自然に体感してもらうことができます。
最初は「自分のため」でもいいんです。人は、自分が少し救われたときに初めて他者を助けたいと思うようになります。その「少しの救い」を提供し、「小さな幸せの種」を共に育てる姿勢が大切だと思います。
上記5,『幸せを遠い理想ではなく身近な行動に』それに向かうために、例えば、こうすれば?そのような例を挙げてみますね。
1. 日常的な感謝を伝える
行動例
- スーパーのレジで「ありがとうございます」と笑顔で言う。
- 家族や同居人に「お茶を淹れてくれてありがとう」と一言添える。
- 通りすがりの人に道を譲ったら、軽く会釈をする。
効果: 感謝の言葉や態度は、小さな行為でも相手を少し幸せにし、その場の空気を温かくします。さらに、自分自身も感謝を意識することで、気持ちが前向きになります。
2. 小さな親切を実践する
行動例
- 重そうな荷物を持っている高齢者や妊婦さんに手を貸す。
- 落とし物を見つけたら、持ち主を探して届ける。
- 階段でベビーカーを運ぼうとしている親御さんを助ける。
効果: 特別な準備や努力を必要としない行動で、「自分は役に立てた」という実感が得られます。
3. 話を聴く場を作る
行動例
- 同僚や友人が悩んでいるとき、「どうしたの?」と声を掛け、ただ聴く。
- 自分の家族や近隣の方に、「最近どう?」と何気なく会話をする。
- 孤独そうな隣人に「今日は寒いですね」と天気の話題を振る。
効果: 話を聴いてもらえると、人は安心感を得られます。その瞬間に「自分は大切にされている」と感じてもらえる可能性があります。
4. コミュニティでの貢献
行動例
- ゴミ拾いや町内清掃に参加する。
- 使わなくなった衣類や物品を寄付する(リサイクル団体やバザーなど)。
- 地域のお祭りやイベントの手伝いに少しだけ時間を使う。
効果: 自分が一部となって役立っているという感覚を得られ、他者とのつながりも生まれます。
5. 身近な人へのおすそ分け
行動例
- 余ったおかずやお菓子を近所の人や友達に渡す。
- 家庭菜園で育てた野菜を分け合う。
- 手作りのものを贈る(たとえば、簡単なカードや折り紙でもOK)。
効果: 贈り物の大小に関わらず、「誰かのため」を意識すると、自分自身も温かい気持ちになります。
6. ネガティブな状況をポジティブに変える
行動例
- 電車で譲られる側になったとき、笑顔で「ありがとう」と伝える。
- 落ち込んでいる友人に「あなたの存在が私にとって本当に大切だよ」と伝える。
- 渋滞や混雑時に「こんな時こそ、自分を落ち着かせる練習だ」と前向きに捉える。
効果: ポジティブな行動や視点は、相手だけでなく自分にも影響を与え、幸せの感覚が広がります。
7. 自分を大切にする行動
行動例
- 一日一つ、自分が楽しいと思えることをする(散歩、好きな音楽を聴くなど)。
- 簡単な目標を立てて達成する(例えば、「今日は誰かに挨拶する」)。
- 自分を励ます言葉を日記や手帳に書く。
効果: 自分を大切にすることは、自分に余裕を与え、他者を思いやる力を育む基盤となります。
思いつくままに書きましたが、これらの行動は特別な準備やリソースを必要とせず、日常の中で自然に取り入れられるものばかりです。これを通じて、自分の中に小さな幸せの感覚が生まれ、それが他者へと伝わるきっかけになると思います。