①、②、において、リスキリングの概念を説明させて頂きました。次に前述しましたワーク・エンゲージメント、ウェルビーイングとの関係性について書かせて頂きます。
最初に全体像としては、、リスキリングと、今、訪れているウェルビーイング社会での産業のリデザイン化は、労働環境と従業員の生活の質を向上させ、持続可能な社会の構築に向けた相互に補完的なアプローチと考えられると思いますが、説明してきましたように、リスキリング導入によりワーク・エンゲージメント向上につながる事は自明の事と思いますし、この事は大企業のみならず中小零細企業においても導入が可能な概念と思います。
では、リスキリングとウェルビーイング社会での(社会へ移行するために)、産業のリデザイン化について考えたいと思いますが、まず、『産業のリデザイン化』とはどういう事でしょうか?
産業のリデザイン化とは、従来のビジネスモデルや運営プロセスを見直し、より持続可能で社会的な価値を重視した形に変革することを指すわけなのですが、では、産業のリデザイン化の具体的な観点やアクションについての考え方を書いてみますと・・
ヒト中心のデザイン (Human-Centric Design)
産業のリデザインは、従業員や消費者のニーズや期待に焦点を当てる必要があります。製品やサービスのデザイン、働き方の改善、カスタマーエクスペリエンスの向上など、ヒト中心のアプローチが重要な部分です。
デジタル技術とイノベーションの活用
デジタル技術や新しいイノベーションを積極的に統合し、業務プロセスの効率化や新たなビジネスモデルの構築を促進します。これにより、柔軟性や生産性が向上し、新たな価値が創造されます。
持続可能性の統合
環境への影響を考慮し、持続可能なビジネス慣行を導入します。エコフレンドリーな製品やサービスの提供、廃棄物の削減、再生可能エネルギーの利用などがその一環です。
働き方の改革
フレキシブルな労働環境やリモートワークの導入、メンタルヘルスのサポートなど、働き方に関するポリシーの見直しや改善が含まれます。従業員のワークライフバランスを重視し、働く環境を向上させます。
社会的責任の果たし方
企業は社会的な責任を果たすことが求められます。ジェンダー平等、多様性とインクルージョン、地域社会への貢献など、企業が社会全体に対してプラスの影響を与える方法を模索します。
教育とスキル開発の促進
従業員のスキルや能力の向上を支援し、未来の仕事に適応できるような教育・トレーニングプログラムの提供が重要です。
以上です。これらのアプローチを通じて、産業は変化する環境に対応し、持続可能で社会的な価値を創造することができます。リデザインは単なる業績向上だけでなく、従業員と社会全体の幸福や繁栄を重視する新しいビジョンの実現を目指すものです。例えば、商品の販売においても米国のビールメーカー『Budweiser』の現在の理念は、従来から掲げていた「のどごしが・・・」「キレが・・・」「うまさが・・・」といったビールそのものの美味しさを伝えるのではなく、「人々を集めるために、我々は存在する(We exist to bring people together)」に変化しています。以上、リデザイン化についてでした。
最後になりますが、リスキリングとウェルビーイングの関係性について説明いたします。それぞれの概念がどのように連携し、相互に影響を与える可能性があるかを示す、いくつかのポイントをあげさせていただきます。
労働者のウェルビーイングとモチベーションの向上
リスキリングにより従業員が最新のスキルを習得できるようになると、仕事への不安感が減少し、職場のモチベーションが向上します。これは従業員のウェルビーイングに寄与します。また、新しいスキルを身につけることで、仕事においてより充実感を得ることができ、生活全体の質が向上します。
柔軟性とワークライフバランスの向上
リスキリングは、労働者が柔軟で変化に対応できるスキルを身につけることを促進します。これにより、労働者は仕事と生活のバランスを取りやすくなり、ウェルビーイングを向上させることが期待されます。柔軟な労働環境や遠隔勤務の導入などもこの一環です。
社会的インクルージョンの強化
リスキリングは、異なる背景やスキルを持つ人々に対する機会均等を向上させる一因となります。これにより、多様性を尊重し、社会的インクルージョンを強化することができ、労働市場全体のウェルビーイングが向上します。
安定した雇用と経済的なセキュリティの提供
リスキリングは、従業員が変化する労働市場で競争力を維持できるようにサポートするため、安定した雇用と経済的なセキュリティを提供します。これは個々の従業員の安心感を高め、経済的なストレスを軽減することに寄与します。
社会的な持続可能性
ウェルビーイング社会においては、経済的な成功だけでなく、社会全体の持続可能性も重視されます。リスキリングは、労働者のスキルアップを通じて社会的な持続可能性を推進し、新たな産業のリデザインや技術の導入に伴う課題に対処する手段となります。
以上 リスキリング/産業のリデザイン①、②、③において説明をさせていただきました。繰り返しになりますが、リスキリングとウェルビーイング社会での産業のリデザイン化は、労働者と社会全体の繁栄を促進する相互補完的な要素となることが、ご理解願えたかと思います。今後、さらにこの『流れ』は加速化されていくと思います。その中で、い~ち・あざーネットワークとしまして、どの様な形で参画していけるのかを、学問の部分に異業種な実社会での経験を組み込みながら、『社会貢献』が可能になるべく議論を尽くし行動に移したいと考えております。