以前から提唱しております「飲みアローグ」、これは飲みにケーションを図る場合の一つの手法なんですが、そもそもダイアローグとは、①完成度が低くてもとりあえず口に出す②他人の意見を否定しない③すでに同じ意見が出ていても、気にせず発言する④空気を読まず、思ったことを言う⑤キャリアや立場を持ち出さない。というような事を理解の上で議論を行う事で、良い結論を導くという手法であります。同様に、哲学者のソクラテスの問答を模したソクラティック・ダイアローグという手法があります。勉強になるところもあるので参考にしてください。

これは、相手に質問を投げかけながら思考を深め、前提や矛盾を明らかにしていく手法です。

特徴と目的

  1. 探究的な対話
    • 教えるのではなく、質問を通じて相手の考えを引き出し、深める。
    • 一方的な説明ではなく、対話を通じて理解を促す。
  2. 前提の検討
    • ある主張が本当に正しいのか、その根拠や矛盾を問い直す。
    • 一見正しいと思える意見の曖昧さを明らかにする。
  3. 批判的思考の促進
    • 思考の飛躍や偏見に気づかせ、より論理的な結論を導く。
    • 感覚的な意見ではなく、根拠に基づいた考えを形成する。
  4. 共同での真理の探求
    • 勝ち負けを目的とせず、対話によってより良い理解を目指す。
    • 参加者同士が共に学び、納得できる結論を模索する。

実際の流れ

ソクラティック・ダイアローグは、次のようなステップで進行します。

  1. 主張の確認
    • 例:「正義とは何か?」という問いに対して、ある人が「正義とは法律を守ることだ」と答える。
  2. 問いかけによる深掘り
    • 「では、すべての法律は正義なのか?」
    • 「法律が不公平な場合はどうなる?」
    • 「正義と法律が対立する場合は?」
  3. 矛盾や問題点を明らかにする
    • 「正義は法律とは別の概念かもしれない」という新たな視点が出てくる。
  4. より深い理解や新しい定義へと導く
    • 対話を重ねることで、正義の定義が単なる「法律遵守」ではなく、より広い概念であることに気づく。

もう少し例をあげます。

例①:幸福とは何か?

1. 主張の確認

A:「幸福とは、お金をたくさん持っていることだ。」

2. 問いかけによる深掘り

B:「では、お金持ちは全員幸せなの?」
A:「いや、お金があっても不幸な人はいるかもしれない。」
B:「逆に、お金がなくても幸せな人はいる?」
A:「いると思う。例えば、好きなことをして生きている人とか。」
B:「じゃあ、幸福の条件はお金だけじゃないのかもしれないね?」

3. 矛盾や問題点を明らかにする

A:「確かに、お金は大事だけど、それだけでは幸福とは言えないかも。」
B:「お金が関係ない幸福の例をもっと挙げてみようか?」
A:「愛する家族がいること、健康であること、やりがいのある仕事をしていること…」

4. より深い理解や新しい定義へと導く

B:「なるほど。それなら『幸福とは、自分が満たされていると感じる状態』とも言えるかもしれないね?」
A:「そうだね。お金は一つの要素にすぎなくて、本質は『満たされること』なのかも。」


例②:良い医師とは?

1. 主張の確認

A:「良い医師とは、専門知識が豊富な医師だ。」

2. 問いかけによる深掘り

B:「なるほど。でも、専門知識があればそれだけで良い医師と言えるかな?」
A:「うーん…他にも必要なものがあるかも。」
B:「例えば?」
A:「患者とのコミュニケーション能力とか?」
B:「なるほど。では、専門知識が豊富でも、患者の話を全く聞かない医師は良い医師かな?」
A:「…それは良くないかもしれない。」

3. 矛盾や問題点を明らかにする

B:「ということは、良い医師の条件は専門知識だけではない?」
A:「確かに。他にも、患者の気持ちを理解する力や説明のわかりやすさも大切だと思う。」

4. より深い理解や新しい定義へと導く

B:「つまり、良い医師とは『専門知識が豊富であり、なおかつ患者に寄り添う姿勢を持つ人』とも言えるかも?」
A:「うん。知識だけでなく、患者との関係性も重要だね。」

このように、ソクラティック・ダイアローグでは単純な「答え」を押しつけるのではなく、対話を通じてより深い理解を引き出していきます。

参考にして下さい。ところどころにこの手法を入れるのも面白いかもしれません。(良い結果の導き)