『誠意』とは、時々使う割にはその意味が曖昧なものでして、個人レベルでもその意味に多少の差があると思っています。人によっては「それは誠意とは言わない!」になったり、あからさまなセールストーク、リップサービス的な誠意もあるでしょう。『誠意』: うそいつわりのない心。私利・私欲のない心。まごころ。(出典:大辞林 第三版)と、なっています。現代の様な競争社会だからこそ、今一度その事について考えてみたいと思います。

「誠意」は人間関係や社会全体の基盤として非常に重要な要素です。誠意とは、他者に対して真心を持って接する態度や行動を意味し、信頼関係を築くために欠かせないものです。しかし、現代社会では、誠意がないと感じられる場面が増えているのも事実です。例えば、ビジネスや政治の世界では、成果や利益が重視されるあまり、誠意が二の次になってしまうことがあるかもしれません。また、インターネットやソーシャルメディアの普及により、顔が見えないコミュニケーションが増え、誠意が伝わりにくくなっている側面も考えられます。

一方で、誠意はその定義が個人や文化によって異なるため、他者が誠意を欠いていると感じる場合、それは単なる誤解や価値観の違いから来ていることも少なくありません。誠意を示そうとする意図があっても、それが相手に伝わらない場合もありますし、逆に相手の誠意がこちらに伝わっていないだけというケースも考えられます。顔の見えないコミュニケーションにおいてはありがちな現象です。

誠意を取り戻すためには、まず自分が誠意を持って行動することが大切です。その上で、相手に自分の誠意を正しく伝える努力をし、相手の誠意を理解しようとする姿勢が求められます。誠意が軽視されていると感じる場合でも、個々がその重要性を再認識し、実践していくことで、少しずつ社会全体にもその意識が広がっていくのではないでしょうか。

大変危惧している事があります。ビジネスの世界で利益追求が第一となり、誠意や他者への配慮が二の次になることは少なくありませんが、この考え方が日常生活や人間関係にまで影響を及ぼしているのではないのか?という事です。この現象は様々なシーンで見られるのかもしれません。ビジネスシーンにおいて考えますと・・

  1. 約束を守らない
    相手と約束したことを守らず、適当な言い訳をして責任を回避しようとする行動。例えば、仕事の締め切りを守らなかったり、プライベートな約束を無視したりすることが挙げられます。
  2. 相手を軽視する態度
    相手の意見や感情を無視し、一方的に自分の意見を押し付ける行動も誠意が欠けています。これは会議の場で他者の発言を遮る、あるいは顧客の要望を軽視することに現れることにも繋がるでしょう。
  3. 情報を意図的に隠す
    重要な情報を相手に伝えず、自分に有利なように物事を進めることも誠意のない対応です。たとえば、取引においてリスクを隠して契約を結ばせるようなケースです。この現象は政治の世界では当たり前になっているようです。麻痺しているのでしょう。
  4. 責任を押し付ける
    ミスや問題が生じたときに、自分の責任を他者に転嫁する行動も誠意が欠如しています。これは、ビジネスの場で上司が部下に責任を押し付ける状況や、保身に走る状況においてよく見られます。またもや、政治の世界では当たり前ですね。
  5. 感謝の気持ちを表さない
    相手が助けてくれたときや協力してくれたときに、感謝の言葉を全く伝えない、あるいは形だけで済ませることも誠意が欠ける行為です。
  6. 自己中心的な行動
    自分の利益や都合だけを優先し、他者のことを考えない行動も誠意のない対応の一つです。例えば、チーム内で自分の業績だけをアピールし、他者の貢献を無視することなどが該当します。
  7. 約束を反故にする
    一度同意したことや合意した条件を後になって一方的に変えることも、相手に対する誠意が欠如していると言えます。

さらに・・・

  1. 感情的な対応を避ける
    相手が困っていたり、感情的に傷ついている場面で、冷淡な対応をしたり、必要なサポートを提供しないことは誠意に欠ける行動です。例えば、顧客が苦情を申し立てた際に、機械的な対応だけで感情面を全く考慮しない場合です。
  2. 他人の時間を無駄にする
    時間を守らず、遅刻を繰り返したり、不要な会議を設定して他人の時間を無駄にする行動は、相手への配慮が欠けており、誠意が感じられません。
  3. 他者の成果を横取りする
    他人の努力や成果を自分のものとして報告し、相手の貢献を無視する行動は、誠意がないだけでなく、倫理的にも問題があります。これは、職場でのプロジェクトにおいてよく見られるケースです。
  4. ネガティブなフィードバックを無視する
    相手からのネガティブなフィードバックやクレームを無視したり、真剣に受け止めないことも誠意のない対応です。たとえば、顧客や同僚からの不満を軽視し、改善しようとしない姿勢です。
  5. 曖昧な対応を繰り返す
    重要な問題に対して曖昧な回答や対応を繰り返し、責任を回避する行動も誠意に欠けます。これにより、相手は信頼を失い、不満を感じることになります。

ビジネスシーンにおいての例を書きましたが、この事が日常生活や人間関係にまで影響を及ぼしているのではないのか?という事が問題なんですね。どれもこれも繋がる部分はあるのかもしれません。

私の想いを書かせて頂きます。

日本の教育において、学力や競争が重視される一方で、感謝、返報、利他性といった社会の基本的なルールや価値観が十分に教えられていないことが問題視されることがあります。これらの価値観は家庭や地域社会の中で自然と学ぶべきものであるという考えがあるかもしれませんが、現代の社会構造ではそのような機会が減少していることも事実です。さらに、教育現場でも受験や進学が主眼に置かれ、人間関係の築き方や他者との共存に関する教育が後回しにされがちです。その結果、誠意や感謝の気持ちが薄れ、他者を尊重することの重要性が理解されにくくなっているのではないでしょうか?

このような状況を改善するためには、教育システムの中で感情教育や倫理教育をもっと重視することが必要だと考えます。子どもたちが他者を思いやり、感謝し、誠意を持って行動することの大切さを学べるような環境を整えることが求められます。また、大人も自らが模範となり、日々の生活の中で誠意を示すことが、次世代に対して重要なメッセージを伝える一つの手段となるでしょう。

最後に、社会全体としても、誠意や利他性を持った行動が評価され、奨励されるような文化を再構築することが大切だと感じます。それが、ビジネスの世界でも、個人の人間関係でも、より健全な社会を作る基盤となるでしょう。