現代社会を生きていく上で、人は様々な共通点を見出して仲間を作っていきます。「おしゃべりが好き」「考え方が前向き」のような、内面的特徴から捉えた自己認識は「個人的アイデンティティ」と呼ばれ、自己形成上、重要な要素であります。

一方、自己紹介などで「〇〇大学出身で、、」「××会社の広報課勤務」などと話す人たちも多いかと思います。このように集団や社会的カテゴリーから捉えた自己認識を「社会的アイデンティティ」呼ばれています。社会的アイデンティティの中には、性別・国籍等も含まれていて、その集団が評価される事により、所属している自己の自尊心が満たされていると、言われています。(亀田達也氏著書 文献 引用)

では、もう少し私見も交えて説明をしますと・・

■個人的アイデンティティ
1.自己認識
個人的アイデンティティーの基盤は、自己認識にあります。自己認識は、自分がどのような存在であるか、自分の特性や能力、弱点などに対する理解を含みます。

2.価値観と信念
個人の価値観や信念に大きく影響を受けます。これらは、何を重要とし、どのように行動するかに関する指針です。

3.文化的アイデンティティー
個人的アイデンティティーは、文化的背景にも関連しています。個人の文化的アイデンティティーは、言語、宗教、民族、地域、家族などの要因に影響を受けます。

4.性別アイデンティティー
性別アイデンティティーは、個人が自分を男性、女性、あるいはその他の性別として認識する方法を指します。性別アイデンティティーは、性別と社会的性別役割に関連しています。

5.性的指向
性的指向も含まれます。これは、個人が異性愛、同性愛、両性愛、無性愛などとして自己を認識する方法を指します。

6.職業的アイデンティティー
個人の職業やキャリアの選択は、彼らのアイデンティティーにも影響を与えます。職業的アイデンティティーは、職業に関連した価値観や役割へのアクセスを含みます。

7.趣味や興味
個人の趣味や興味は、アイデンティティーの一部として重要です。これらは、個人が自分自身を表現し、楽しみ、成長する手段として役立ちます。

個人的アイデンティティーは、個人が自分を認識し、他者とのつながりを形成し、自分自身を肯定するのに不可欠な要素です。アイデンティティーは時間と経験によって変化することもあり、個人の成長と発展に合わせて進化します。個人的アイデンティティーの理解は、自己啓発や心理的な健康に寄与する一方で、異なるアイデンティティーを持つ他者との共感と理解を促進するのにも役立ちますが、その逆も考えられます。

■社会的アイデンティティ
1.多面性と複雑性
社会的アイデンティティーは、個人が異なる側面や属性を持つことを認識することが重要です。人は単一のアイデンティティーを持つのではなく、異なるアイデンティティーが交錯し、組み合わさることがあります。たとえば、性別、宗教、民族、性的指向、職業、趣味など、さまざまな要因が社会的アイデンティティーに影響を与える可能性があります。

2.変容性
時間と状況に応じて変化することがあります。人生のさまざまな段階や経験に応じてアイデンティティーが進化し、変化することがあります。この変容は、個人の成長や学習の一部として受け入れられるべきですが、社会的善悪の麻痺が含まれてしまいますので、怖い部分でもあります。

3.帰属感とアイデンティティーの重要性
個人が属するコミュニティやグループとの帰属感を形成します。この帰属感は、人々の安心感や幸福感に影響を与えることがあります。また、アイデンティティーは他者とのつながりを強化し、共感を生み出すのに役立ちます。ただ、そこには弊害の発生も予想されるので、その事も共有できるコミュニティやグループであるべきと思います。

4.対立と調和
異なる社会的アイデンティティーを持つ人々が共存する場合、対立や緊張が生じることがあります。しかし、異なるアイデンティティーを尊重し、調和を図ることも可能です。対話や教育を通じて、異なるアイデンティティーを理解し、共感する機会を創出することが大切です。

5.アイデンティティーの自己受容
最も重要な点は、自己受容です。自分自身を認識し、自分のアイデンティティーを肯定的に受け入れることが、精神的な健康と幸福感の向上につながります。他者の期待や社会のプレッシャーに左右されず、自分自身のアイデンティティーを探求し、表現することが重要です。

総括すると、社会的アイデンティティーは多様性と複雑性を持ち、個人と社会との関係において重要な要素です。これを尊重し、肯定的に受け入れることは、より包括的で理解のある社会の構築に寄与します。

■以上、書いてみるとこのようになります。しかしながら、個人的アイデンティティ・・・これ、実は大変難しくて、書きましたように変容がつきものです。そこには、様々な要素がある訳ですが、最も影響するのは『人生における個人の出来事』なんですね、、例えば、反社会的な世界に入る連中もそうであるように、何らかのきっかけがありますし、暴走族も生い立ちや教育の問題があって、その道に入ってしまいます。それが起点となり、つまり、個人的アイデンティティとなってグループ化(グループに入る→社会的アイデンティティの保持)していくと思っています。

社会人になっても、そのアイデンティティは『やっかい』で、個人のそれと社会のそれとの違い、あるいは似ててもその温度差に、悩まされている人は多いと思います。

い~ち・あざーネットワークの立ち上げは、患者団体相互の協力の場は勿論ですが、その様な悩みを持たれている方や、「社会に出たけど何かが違う」「現在の状況には満足しているが、何かが違う、何かをやりたい」そんな人達の場にもなりたいと思っております。

「社会貢献」を基軸に『やりたい事を皆で相談してやろうよ!』その精神で今後も活動を継続したいと考えております。とかく世の中、組織の中では『行動力があって能力のある独創的な人』は、弾き飛ばされる時代になってきています。同じ並びの、普通の人が重宝がられます。個人の生活を守りながら、『異端児』らしく光り輝く場を皆さんで作りたいと思います。