では、順次説明いたしますね。
①. 企業が自社の事業目標を定めて、必要な人材を明確にし、可視化する。同時に、従業員のスキルや社内ポジションの可視化も行う。
②. 事業目標に向けて従業員が『学び直し』の為に専門分野の学習を開始する(大学等)。そこには企業側から金銭的サポートが入る仕組みになっている。ただ、その段階でのシステムは(応募や選別など)当然必要にはなってくると思います。
③. 個人のスキルアップ状況を『評価』する。
④. 事業目標の中の社内セクションへ配属され、同時に昇給システムも構築・稼働・適用される。つまり、学び直しで終らせず、新しい仕事や業務につなげる事が出来た事になります。すなわち『労働移動』が実践されました。
数年後、この企業においてリスキリングを行った従業員が技術管理職半数を占め、技術部門で昇進した人の47%を占めるようになったとのことです。勿論、企業側の社会情勢を見越した、的を射た体制戦略の中での結果であって、『リスキリングすればできる』訳ではない事は、言わずもがなであります。そして、リスキリングには2種類の形があると言われていますが、働き方改革による多様性が重視されている社会においては、今後、さらに増えていくのではないでしょうか?尚且つ、この2種類の形態において、後ほど(別シリーズ)説明しますがワーク・エンゲージメント、さらにはウェルビーイングの概念と密接に関係しているのです。
ここで視野を拡げながら、まとめてみますと、、リスキリングがこれだけ活発化してきた背景には何が存在するのでしょうか?
技術の急激な進化
デジタル技術、人工知能、自動化などの技術が急速に進歩しており、これが多くの産業や職種に影響を与えています。これにより、新しいスキルが求められ、古いスキルが陳腐化していくため、従業員はこれに適応する必要があります。
グローバルな競争と産業構造の変化
世界経済のグローバル化に伴い、企業はより効率的で競争力のある形態で事業を展開する必要があります。これにより、業界構造が変わり、新しい職種が生まれたり、従来の仕事が変容したりしています。
労働市場の需要変化
特定のスキルや専門知識への需要が変化しています。例えば、デジタルマーケティングやデータ分析などの分野での需要が増加しています。このような変化に追従するためには、労働者が適切なスキルを身につける必要があります。
長寿命化と多様なキャリアの需要
人々の寿命が延び、一生の中で複数の職種や業界で働くことが一般的になっています。これにより、個々の労働者がキャリアを通してスキルをアップデートし、異なる環境に適応できるようにする必要性が高まっています。
社会的責任とサステナビリティ(持続可能)
企業や政府が社会的責任とサステナビリティに注力する傾向が強まりつつあります。従業員のスキル向上をサポートすることは、社会全体の健全な発展に寄与するとともに、労働市場全体の安定性を維持する一環となっています。
これらの要因が組み合わさり、リスキリングが企業や政府、教育機関のアジェンダに取り込まれ、積極的に推進されていると考えられます。日本においても2023年の「骨太の方針」において「三位一体の労働力市場改革」の三つの柱の中で、①「リスキリングによる能力向上支援」②「個々の企業に応じた職務給の導入」③「成長分野への労働力移動の円滑化」と明記されています。・・・以上、③に続きます。