質の高い医療には患者とドクターの関係における「ドクター側のコミュニケーション力」の育成が必要であると思っております。完璧なドクターは居ていないとは思うものの、その部分の能力が不足しているドクターが多いのも事実であり、ある意味、深刻な問題でして2次的な病気の発生原因とも考えています。

ドクターは専門的な知識や技術だけでなく、共感や説明力、傾聴力などのコミュニケーション能力は、患者が自分の症状や治療方針を理解し、適切なケアを受けるために欠かせません。ドクターのコミュニケーション力が不足している場合、患者は不安や不信感を抱きやすくなり、治療に対する積極性が失われることもあります。さらに、誤解や説明不足が原因で、患者が指示通りの治療を受けられず、症状が悪化したり、別の病気を引き起こす可能性もあります。したがって、コミュニケーションが円滑であることは、患者の満足度だけでなく、医療の質や結果に直結するものといえます。

ドクター側でもコミュニケーション能力の向上を目指す動きが一部ではあって、特に「患者中心のケア」を重視する流れの中で、その重要性が再認識されています。ただし、まだ改善が必要な部分も多く、ドクターの教育プログラムや日々の実践の中でこの問題に取り組む必要があります。とは言え、ドクターご本人がこの事実を理解していただく事が第一と、私は思っております。

今後、当ネットワークが考えている『その問題』に関して、開催を検討している活動を公開します。

  1. 「共感力を育てる医療コミュニケーションワークショップ」
    内容: 医療現場での共感力や説明力を磨くための実践的なワークショップ。ロールプレイを通じて、患者との対話方法を学び、医療用語を一般の人にも分かりやすく伝える技術を磨きます。
    特徴: 実際の患者や模擬患者が参加し、フィードバックを提供するセッションを取り入れることで、ドクターが患者の立場を体感しながら学ぶ機会を提供します。
  2. 「一般社会を知る:医師と市民の対話セッション」
    内容: 一般の市民や患者団体メンバーとドクターが直接対話するセッションを設け、互いの視点を共有するイベント。患者がどのように病気や治療を捉えているか、どのような不安や期待があるのかを、ドクターがリアルタイムで理解できる機会を提供します。
    特徴: 形式はパネルディスカッションやラウンドテーブルにし、患者の声をダイレクトに伝えると同時に、ドクターも自分の立場からの意見を共有する場を作ります。
  3. 「医療現場における共感と信頼:患者の視点を理解する」セミナー
    内容: 一般的な生活や社会からの隔離感を持つドクターが、現代社会の価値観や生活習慣、患者のメンタルや心理状態に理解を深めるためのセミナー。講師に患者支援団体や社会学者、心理学者を招き、患者の多様な価値観を学びます。
    特徴: 理論的な背景とともに、具体的な事例を交えながら、患者が抱える不安やストレスを理解し、信頼関係を築くためのヒントを提供します。
  4. 「ストーリーテリングで学ぶ医療コミュニケーション」
    内容: 患者の体験談やストーリーを通じて、医師がどのように患者の視点をより深く理解できるかを学ぶセッション。患者がどのように医療を受け入れたか、どのような感情を抱いたかを具体的に知ることで、コミュニケーションの改善に繋げます。
    特徴: 実際の患者やその家族が自らの体験を語り、ドクターがそれに基づいてディスカッションを行うことで、共感力を高めます。
  1. 「医師のための患者中心ケア実践トレーニング」
    内容: 「患者中心のケア」をテーマに、医療現場で実践できる具体的な技術を学ぶトレーニングセッション。患者に寄り添い、共感を示す方法、質問の仕方、傾聴の重要性などにフォーカスします。
    特徴: 患者とドクターが共同で参加するグループワークを中心に、実際の対話を通じてフィードバックを受けながらスキルを磨く形式。

問題意識を共有するために、患者、患者家族が中心になり次の内容のイベントも検討中です。

  1. 「医師ともっと良いコミュニケーションを取るための患者ワークショップ」
    内容: 患者や家族が医師とのコミュニケーションを改善するための具体的な方法を学ぶワークショップ。例えば、質問の仕方、医師の説明を正しく理解するためのテクニック、必要な情報を引き出す方法などを学びます。
    特徴: 模擬診療やロールプレイを通じて、医師とのやりとりを練習し、コミュニケーションスキルを強化する機会を提供します。プロのコミュニケーションコーチや患者団体の経験者を招いて、実践的なアドバイスを行います
  2. 「患者の声を形にする:医療現場での主張力を高めるセミナー」
    内容: 患者や家族が、自分の意思や希望をしっかりと医師に伝えられるようにするためのセミナー。治療に対する疑問や希望、意見をどのように表現すれば良いか、医療の場で声を上げることの重要性を学びます。
    特徴: 患者が自身の経験や意見を共有しながら、お互いの体験を学ぶ場を設けます。また、医療者と連携する方法や、家族が患者をサポートする際のコミュニケーションの工夫についても議論します。
  3. 「患者と家族のための共感的対話スキル講座」
    内容: 医療者との対話で不安を感じたり、言いたいことが伝わらないと感じる患者や家族のために、共感的な対話スキルを磨く講座。医師と効果的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くための対話の技術を学びます。
    特徴: 実際の対話の事例を分析し、どうすれば医療者に対して効果的に自分の気持ちを伝えられるかを探求します。また、家族間のコミュニケーションも含めて、医療に関する意思決定をサポートするためのスキルも学びます。
  1. 「治療とケアにおける自己表現:患者としての権利と声を大切に」
    内容: 患者としての権利や、自己表現の大切さを学ぶイベント。患者が医療において自分の意見やニーズを率直に表明できるようにするためのサポートを行います。具体的には、診察中に重要な質問をする方法や、セカンドオピニオンを求めるタイミングについてのアドバイスを提供します。
    特徴: 患者の権利に関する専門家による講演とともに、具体的なケーススタディを使って、どのように医療の現場で自分の希望を伝え、自己決定を尊重されるかを学びます。
  2. 「医療現場での家族サポート力を高めるための家族向けワークショップ」
    内容: 患者の家族が、医療の現場でどのように患者を支え、医療者とのコミュニケーションをサポートできるかを学ぶワークショップ。患者本人が意識的に参加できない場合や、医師に代わって家族が情報を受け取る場面で、適切な対応ができるよう準備します。
    特徴: 医療の選択肢や治療内容を理解し、患者の希望を医師に正しく伝えるためのスキルや、感情的なサポートをどう行うかについての実践的なアドバイスを提供します。

これらのイベントは、患者や家族が医療者との関係をより良くし、治療をスムーズに進めるためのヒントを提供する内容となっています。イベントを通じて、患者や家族が自身の声を持ち、医療体験をより積極的に関わることができるようになるでしょう。