私達は、所謂、『謙遜の文化』を美徳と考える慣習があります。その事は我々の自尊感情が低い"ふり"をするという事にも繋がっています。そう思いませんか?この現象は、文化的な背景が深く関わっているように思います。つまり「謙虚さ」や「控えめ」な態度が、日本の伝統的な価値観として、自己主張よりも集団との調和を重視する傾向に由来しているのでしょう。ですが、無理に低い自尊感情を装うのではなく、自然体で振る舞うことが重要な時代になってきていると強く思います。この事は大げさな事では無くて、むしろ、自然に進んできているのではないでしょうか?

低い"ふり"をすることにおける問題点について考えると、以下のような点が挙げられると思います。

  1. 本来の自己評価と乖離が生まれる
    自尊感情が実際には高いのに、低く振る舞うことで自己評価と外面が一致しなくなり、内的な葛藤が生じることがあります。この不一致は、長期的にストレスを増幅させ、精神的な負担を感じる要因となり得ます。
  2. 周囲との関係が歪むリスク
    周囲に対して低い自尊感情を装うことで、他者がその人を実際よりも能力が低いと判断する可能性があります。その結果、適切な評価や役割を与えられず、結果として自己実現やキャリアの発展が妨げられることがあり得ます。また、逆に低姿勢を装うことで、他者に誤解を与えたり、過度な期待を抱かせたりするリスクもあります。
  3. 本音を隠し続ける疲労感
    「謙虚さ」を保つために常に低い姿勢を装うことは、結果的に自分の本音や感情を抑圧し続けることになり、精神的な疲労感を生むことがあります。特に自己主張や自分の意見を言うことが必要な場面で、それを避けることが繰り返されると、自己表現の機会を失いがちです。
  1. 本来の自己成長が阻害される
    自分の能力や実績を低く見積もる"ふり"をしていると、自己評価が歪み、自己成長の機会を見逃すことがあります。自然体であれば、自分の強みや課題を正確に把握でき、次のステップに進むための具体的な努力がしやすくなりますが、低い"ふり"を続けるとこのプロセスが遅れることがあります。
  2. 囲に誤ったメッセージを送る可能性
    日本の文化では、謙虚さが美徳とされる一方で、過度な謙虚さが他者に対して「本音を隠している」「信用できない」といった印象を与えることもあります。結果的に、他者がその人に対して距離を感じたり、信頼関係が築きにくくなったりするリスクも考えられます。

自然体であるためのポイント
自然体で低い自尊感情を表現することが望ましいとすれば、以下のような要素が重要になると思います。

自己認識と自己受容:自分の強みや弱点を正確に認識し、他者に対してそれを無理なく表現できる心構えが必要です。自信がある部分では自信を示し、謙虚であるべき部分では自然な謙虚さを保つことが理想的です。

フィードバックの重要性:周囲からのフィードバックを積極的に取り入れ、他者の視点から見た自己評価を参考にすることで、よりバランスの取れた自己像を形成できます。

適度な自己主張:自己主張を適度に行い、必要な場面では自分の価値や意見を明確に伝えるスキルも重要です。これによって、低い"ふり"をしすぎて自己表現を抑え込むリスクを避けられます。

日本文化の中で謙虚さが美徳とされることは尊重すべき部分ですが、バランスを保ち、無理のない自然体でいることが、自分自身の健康や他者との関係にとっても有益です。

ポイントをもう少し詳しく書きますと・・・

  1. 自己認識と自己受容
    自然体で自分を表現するには、まず自分自身をしっかりと認識し受け入れることが基本です。これは自分の強みや成功体験だけでなく、弱点や過去の失敗も含めて自分を正確に見つめることを意味します。自己認識が深まると、外的な評価に左右されず、内面的な安定感を保つことができます。例えば、自分の得意な分野ではしっかりと自信を持って発言し、苦手な部分については他者のサポートを素直に受け入れることができるようになります。自己受容のステップでは、自分を無理に高く見せる必要もなく、低く評価しすぎることも避けられます。
  2. 適切な自己主張
    日本の文化では謙虚さが重視されますが、自然体で自己主張を行うことも重要です。自己主張とは、必要な場面で自分の意見や感情を相手に明確に伝えることです。これには、自己の価値や貢献をしっかりと表現することが含まれますが、同時に他者の意見を尊重する姿勢が大切です。国際社会では、自己主張が弱すぎると「自己評価が低い」と捉えられ、交渉において不利になることもあります。自己主張の際に、事実や具体例を基に話すと説得力が増し、自然な自尊感情を表現できます。

例:外交の場で、技術革新や貢献を控えめに話すのではなく、具体的な成果や影響を冷静に述べることで、相手に正しい印象を与えられます。

  1. 他者との対話を重視
    自然体で自尊感情を表現するためには、他者との対話を重視する姿勢が必要です。自己主張が強すぎると、相手との関係が対立的になりがちですが、他者の意見を尊重し、双方が理解し合うことを目的とした「言葉のキャッチボール」を行うことで、自然なバランスが取れます。これにより、相手との信頼関係が築かれ、自己表現も受け入れられやすくなります。
  1. 感情表現のバランス
    感情表現のバランスも、自然体であるためには重要です。特に政治やビジネスの場面では、感情を抑えることが求められることも多いですが、完全に感情を抑え込むと相手に冷淡な印象を与えることがあります。一方で、感情を過剰に表現しすぎると信頼を損ねるリスクもあるため、適度な感情表現を心がけることが大切です。感情を素直に表現することで、相手に共感を与えつつも、冷静さを保つ姿勢が自然な自尊感情を伝える手助けになります。
  1. フィードバックの受け入れと自己改善
    自然体であるためには、自分の行動や発言が他者にどのように受け取られているかを意識し、フィードバックを受け入れて自己改善を図る姿勢も欠かせません。自分の意見が過度に強すぎるか、逆に謙虚すぎて誤解されているかを定期的に確認し、バランスを取ることができます。フィードバックを素直に受け入れる姿勢は、他者との信頼関係を深めると同時に、自己成長のきっかけにもなります。

例:外交交渉やビジネス会議の後、相手の反応やフィードバックを確認し、自分の立場を改善することで、次の場面でより適切な自己表現が可能になります。

自然体で自尊感情を表現するためには、バランスの取れた自己認識、他者との対話、フィードバックの活用が重要な要素となります。これにより、無理のない自己主張や感情表現ができ、他者との協力関係を築きやすくなります。