リーダーにおいて『嫌われる勇気』が必要かどうかについて、私はその重要性が非常に高いと考えます。特に組織の大きさにかかわらず、リーダーが全ての人に好かれようとする姿勢は、多くの場合、結果として組織の停滞や問題解決の妨げになることが多いです。企業においても、何らかの集団においても、それは当てはまるかと、、思います。
以下に、理由と私の持論をいくつか挙げます。あくまでも、現在の私の考えでありまして、それが出来たかどうかは別でございます。

  1. 明確なビジョンと決断力
    リーダーは、組織の進むべき方向を明確に示し、そのために必要な決断を下す責任があります。しかし、全てのメンバーの意見に応えようとすると、リーダーはビジョンが曖昧になり、決断力が鈍ります。全員に好かれることは現実的ではなく、時には不人気な決断を下すことが求められる場面も多々あります。『嫌われる勇気』を持つことで、リーダーは自分の信念に基づいて決断を下し、組織を正しい方向に導くことができます。
  2. コンフォートゾーンの外での成長
    リーダーが皆の意見に流されず、あえてチャレンジングな目標を掲げることで、組織は成長の機会を得ます。コンフォートゾーンに留まりたいという声が多い中で、リーダーはその意見に逆らってでも挑戦を促すことが必要です。これが全員に好かれるわけではないものの、組織全体の成長を考えた場合、それが最善の判断となることが多いです。
  3. メンバー間の公平性の維持
    リーダーは組織全体を俯瞰し、公平な判断を下す必要があります。一部のメンバーに好かれようとして特定のグループに有利な判断をすると、結果として他のメンバーに不満が生じ、組織全体のモチベーションに悪影響を与える可能性があります。『嫌われる勇気』を持って中立的な立場を貫くことで、公平な組織運営が実現でき、長期的には信頼を勝ち取ることができると考えます。
  1. 長期的な信頼と尊敬の構築
    短期的には批判を浴びたり、一部のメンバーに嫌われたりすることがあるかもしれませんが、リーダーが一貫して正しいと思う行動を取り続けることで、最終的にはメンバーの信頼と尊敬を得ることができます。リーダーシップの本質は人気取りではなく、組織の目標達成や成長に貢献することです。『嫌われる勇気』を持つことで、一時的な不満を超えて、組織全体の長期的な成功を実現することが可能です。
  2. メンバーの自立促進
    リーダーが全てのメンバーに気を遣いすぎると、メンバーはリーダーに依存しやすくなります。しかし、『嫌われる勇気』を持ち、時にはメンバーに厳しいフィードバックを与えることで、メンバーは自立的に行動する力を養うことができます。自分で考え、決断する能力を育てることで、組織全体のパフォーマンスが向上します。

リーダーが全ての人に好かれることを目指すと、結果的に中途半端な決断や妥協が生じ、組織にとって良い方向に進まないことが多いです。特に、ビジョンを実現するためには『嫌われる勇気』を持って、必要な変革や決断を恐れず行うことが求められると私は考えています。組織の大きさが、例えば、10人程度であったとしても、その事は当てはまり、いかにアレンジして対応をするのかがリーダーの手腕であると思います。

次にそれが出来ない、つまり『好かれること』を重視するリーダー(経営者)当初のメリットはいくつか存在します。従業員の信頼や親近感を醸成し、組織内の協調性を高める一方で、長期的な経営戦略や成長を阻害する可能性があります。ここではリーダーシップの視点から、リーダーが好かれようとする姿勢が組織の発展にどのようなマイナスをもたらすかを考えてみます。社長と従業員との関係で述べます。

まず、社長が従業員に好かれることを最優先にすると、企業全体としてのリスク回避志向が強まる傾向があります。リーダーは本来、変革や挑戦を推進し、困難な状況においても新たな道を切り開くべき存在です。しかし、好かれたいという気持ちが強いと、従業員の抵抗を恐れ、変革を避けるような判断に傾きがちです。企業は挑戦し続けることで市場における競争力を維持しますが、社長が過度に従業員の感情や意見を気にしすぎると、その挑戦が鈍化し、結果的に競争力を失うことにつながります。

次に、好かれようとする姿勢は、組織の中で公正さや一貫性を損なうリスクを孕んでいます。リーダーシップにおいては、時には厳しい決断や評価を下すことが求められますが、好意を維持するためにその決断を曖昧にすることで、結果的に一部の従業員を特別扱いしてしまう可能性があります。特定のグループや個人に好かれようとすると、その意見や利益に偏った判断が行われ、他の従業員からの信頼を損なう危険性があります。社内の不満が蓄積すると、結果として組織全体の士気が低下し、生産性に悪影響を及ぼすことは避けられません。

また、好かれることに集中しすぎる社長は、リーダーとしての威厳を失うことにもつながります。リーダーには、時に不人気な決断を下す勇気が求められますが、それを避けることで従業員はリーダーシップの欠如を感じ、不安を抱くことが増えます。経営者があまりにも柔軟に対応しすぎると、従業員が甘えを生み、自発的な行動が減少し、組織の活力や創造性が低下する恐れもあります。リーダーの厳しさと公正さが従業員の成長を促し、結果的には組織全体の進化を助けるのです。

さらに、好かれたいという感情が、社長自身の自己成長を妨げることも考えられます。リーダーは自己反省やフィードバックを基に成長し続けるべきですが、好かれることに囚われていると、自分の弱点や課題に対して目を向けることが難しくなります。社内からの批判や異論を受け入れる姿勢が弱まり、結果として自己満足に陥りやすくなるのです。このような状況では、リーダー自身が成長を止め、企業の成長も頭打ちとなる可能性が高まります。

最後に、規模の小さい企業においては、リーダーが好かれることで組織内の一体感が高まりやすい一方で、企業が成長していく過程で、好かれたいという気持ちはリーダーシップの柔軟性を奪う要因となりかねません。規模が大きくなるにつれて、より多様な意見やニーズが発生し、全員に好かれることはますます困難になります。その結果、好かれようとする姿勢が企業の競争力を弱め、リーダーとしての役割を果たせなくなるリスクが生じるのです。

リーダーは、時に好かれないことを覚悟しながらも、企業全体の最善のために決断を下す必要があります。