聴覚情報処理障害(APD)とは、声は聞こえるものの言葉として理解できない症状を指します。学生時代に自覚することが比較的少なく、社会人になってから仕事上のトラブルが生じて聞こえにくさを意識するケースが多いです。半世紀にわたって研究されているにもかかわらず、まだ明確に定義することが難しい障害で、末梢聴力には明白な難聴を呈さないが、中枢性聴覚情報処理の困難さによって難聴に似た症状を呈する状態とされています。つまり、聞こえるのは聞こえるけれど、その内容を理解できない、もしくはそのスピードが遅いというような状態です。大人も多いですが、子供の2~3パーセントにこの障害があるとされています。

国内では約240万人の方々がこの症状を持たれています。ある医療機関のHPでは特徴として以下の症状を特記されています。

  • 聞き返しが多い。「えっ」「なにっ」とたびたび言う。
  • 雑音下での聞き取りが困難。
  • 何と言われたのかしばしば誤解する。
  • 要求された事柄について絶えず確認する。
  • 言語情報が減少すると言葉の理解が困難。
  • 音声指示に従うのが困難。
  • 類似する言語音の弁別や識別が困難、聞き誤る。
  • 聴覚刺激に対して的外れな反応をする。
  • 聴覚的注意の欠如。
  • 聴覚的な記憶力が弱い。
  • 理解語彙や表出語彙が少ない。
  • 言語指示に対しての反応が遅れる。
  • 読みや書字、学習面においての問題を有する。
  • 聴覚経由での学習が困難。
  • 話がわからないので、注意力が散漫になる。
  • バックグラウンドノイズ(周囲の雑音)から必要な音を選択できない。
  • APDとADHDを両方持っている子も多い。
  • 正常なヒアリング(聴力)を持っているが、軽い難聴のように感じる。
  • 人が大勢いるところでは話を聞き取り辛い。
  • IQは、通常平均である、または、平均以上である。
  • 言語発達にしばしば影響して、言語遅延を持っていることがある。
  • 時間概念を正確に理解することが困難である。常に現在のみを生きており、未来を把握し辛い。
  • 音楽やTVの音は大きければ大きいほどいいと感じる。
  • 重要な音を気に止めない、全く気にしない。

私の経験で追加させて頂くと・・「えっ」「なにっ」と聞き返した後、相手が2回目を言ってくれた最初の文言あたりで、言った内容全てが理解できる。→聞こえているが理解するのにヒントが要ったり、時間を要するのかもしれません。高校生時代からこの症状は感じていました。

もし、そのような症状の方とお会いする機会がありましたら下記の事を心がけて下さい。

静かな場所で話すAPDは、話し声と騒音の聞き分けが苦手です。静かな場所で話すことで、聞き取りやすくなり、正確に会話ができるようになります。

口元が見えるように話すAPDは、聞き取りにくさをカバーするため、口の動きを見て言葉を予測する人が多いです。なるべく口元が見える位置で話してみてください。 

一対一で話すAPDは、複数人での会話について行くことが苦手です。できるだけ一対一で話すと、理解しやすくなり、正確に内容を理解できます。 

文字で伝えるAPDは、聴覚の情報に弱いぶん、視覚情報に強い方が多く見られます。メモやスマートフォンを利用することで、正確に物事を伝えることができます。